5月28日~30日、「第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)」が横浜市で開催された。アフリカの53カ国中51カ国が参加し、41人の国家元首・首脳が来日した。また、アフリカ以外からも開発パートナー国や アジア諸国が計34カ国、そして74の国際機関やNGO(非政府組織)が参加し、日本の外交史上でも稀な大規模な国際会議となった。福田康夫首相は3日間 で40回に及ぶ首脳会談を行い、各国の課題と支援のあり方について議論した。
東西冷戦の終結後、旧ソ連や東欧で紛争や内戦が多発。アフリカへの国際社会の関心が薄れつつあった1993年に、日本と国連、世界銀行が共同で始め たのが「TICAD プロセス」だ。その後、アフリカ諸国の「オーナーシップ(自助努力)」と、アフリカと国際社会の「パートナーシップ(協調)」という理念に基づき、 TICADはアフリカ開発のための重要な国際的枠組みに発展してきた。
一方で、ここ数年、アフリカ諸国の社会的、経済的な発展は目覚ましい。民主的なガバナンスの進展、石油や鉱石など豊かな資源の開発を含めた海外から の投資の増加などで、GDP(国内総生産)の成長率は、2005年には平均5.5%、2006年は5.3%と高い伸び率を示し、輸出は2004年の 1820億ドルから、2005年の2300億ドルと26%も拡大した(世界銀行アフリカ・ファクトシートより)。さらに2007年の経済成長率は、6%以 上と推定されている。それだけに、アフリカ諸国の今後の動向が、国際社会からも注目を集めているわけだ。
TICAD IVでは、「元気なアフリカを目指して ―希望と機会の大陸」を基本メッセージに掲げ、次の3つのテーマを柱に議論が行われた。
1.成長の加速化
2.平和の定着、ミレニアム開発目標の達成を含む人間の安全保障の確立
3.環境・気候変動問題への対処
実は、TICADプロセスに気候変動問題が取り上げられるのは今回が初めて。気候変動への脆弱性が指摘されるアフリカ大陸への開発援助は、温暖化の 進行を食い止め、温室効果ガス(GHG)の削減を支援する「緩和策」だけでなく、現実問題としてアフリカ諸国を襲いつつある砂漠化や海面上昇などの気候変 動への脅威に対して、社会的・経済的な基盤を強化する「適応策」を盛り込むことが喫緊の課題として挙げられている。
アフリカのこれからと、経済社会における各国のあり方が問われる。
先進国の心温かい支援と協力が惜しまず注がれるならば、地球の温暖化問題や、エコに関するそのほかの問題も世界規模で協力、そして生存と大きな期待ができます。