日本の二酸化炭素(CO2)排出量のうち運輸部門が占める割合は約2割。その約半分が自家用乗用車からの排出だ。
経済産業省の「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」に選ばれた21技術のうち乗用車に関する技術は、「燃料電池車」と「プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車 (EV、あるいはBattery EVとも呼ばれる)」の2種類。従来からある技術ではなく、“革新的な新技術”という選定基準から、クリーンディーゼル 車などは入っていない。
燃料電池車は水素を燃料とし、燃料電池で発電した電気を動力源にすることで、走行時にはCO2を排出しないことから、一時は“究極のエコカー”と期 待された。実際には水素製造時にCO2を排出するが、それでもガソリン車の3分の1程度にCO2排出を減らすことができる。さらに、再生可能エネルギーか ら水素を製造できるようになれば、さらなるCO2削減が可能になる。ただし、ガソリンなどの液体燃料と比べると、気体であるために取り扱いが難しく、安全 な貯蔵技術や航続距離、さらには生成水が凍ってしまうことによる低温時の始動性などが課題とされてきた。
しかし、車体側の課題は、現在ではかなり解決されつつある。ホンダが2007年11月に発表し、2008年11月から国内でもリース販売を開始する 「FCXクラリティ」では約620kmという航続距離を達成。これは従来モデルと比較して約30%の延びとなっているが、これは、燃費でも約20%の向上 を果たしていることと、水素タンクの容量アップによるものだ。燃料電池のエネルギー効率も約10%向上している。また、気温がマイナス30℃でも始動可能 だ。
トヨタが2008年6月に発表した「トヨタFCHV-adv」でも、燃料電池の制御システムの改良により生成水をコントロールすることで、気温がマ イナス30℃でも始動・走行が可能となっている。航続距離も約830kmと、ガソリン車に勝るとも劣らない性能を実現した。また、この「トヨタFCHV- adv」は、同社得意のハイブリッド車に採用されている回生ブレーキシステムを組み合わせた燃料電池ハイブリッド車(FCHV)で、この回生ブレーキシス テムの改善により、従来モデルよりも約25%の燃費向上を果たしている。販売時期については未定だが、すでに国土交通省の型式認証を取得しており、今年7 月に開催された北海道・洞爺湖サミット(主要国首脳会議)でも、国際メディアセンターに試乗車が用意されていた。
車の持つ性能の進化が地球環境に何をもたらすのか?それはCO2削減というエコに関わることだけでなく、次世代の車、つまり未来都市に生きる人のステータスになることは間違いありません。
0 件のコメント:
コメントを投稿